旅の蜃気楼

米沢

2002/09/23 15:38

週刊BCN 2002年09月23日vol.958掲載

▼街にいると山が恋しい。山にいると街が恋しい。人間は我がままにできているんですね。9月に入って、米沢市に長逗留している。あちこち旅はするのだが、ひと所に2週間の滞在はなかった経験だ。思い立って、自動車免許を合宿でとることにした。遅い青春を取り戻しているというのだろうか。吾妻自動車学校の生徒は、20才前後の茶髪系の若者ばかり。とにかく、異次元の体験をしてる。授業の間に、路上運転のコース視察をかねて市内を歩く

▼いい感じの街なのだ。蔵が多い。意外だった。もっと整備すると、高山の規模をはるかしのぐ、素敵な蔵の息づく街になるだろう。いくつかの商家に入った、方言のせいもあって、応対の間合いが穏やかで、伸びた調子がすっかり気に入ってしまった。米沢といっても、皆さんは、どこの街だろうか、ぐらいの印象ではなかろうか。そうだ、日本電気の読者の方はそうではない。教習所の先生の友人に、米沢日電のリストラ組の友人がいて、「今は家業を継いで、ラーメン屋、やってるよ」。実に身近な話題だった。

▼上杉神社に詣でた。あの謙信を祭っている。米沢藩の殿様は明治の藩制の返上まで上杉家だ。これも意外だった。謙信の次に有名なのが鷹山。天明の飢饉の頃、9代目の上杉鷹山は生涯をかけて藩の経済を立て直した。鷹山の経済改革を物語にした17分映像を博物館で見た。30人ほどが見終わって、どこからともなく、拍手がなった。今の世相と重なって見えたからだろう。「成せばなる 成さねばならぬ 何事も 成らぬは人の 成さぬなりけり」(鷹山)。吾妻山、飯豊連峰と味わい深い山が街を取り囲んでいる。お勧めの街だ。(米沢発・笠間 直)
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