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レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ グローバルで培った強みと日本品質の融合でビジネス拡大を支援

2025/06/23 09:00

週刊BCN 2025年06月23日vol.2064掲載

 サーバーに求められる性能と柔軟性が飛躍的に高まる中、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズは、張磊(チョウ ライ)新社長の就任を機に「イノベーション」「品質」「サービス」の三つの価値提供で日本市場に応えることを宣言した。この戦略を体現する代表的な存在が、米Intel(インテル)の最新プロセッサーのXeon 6を搭載した新製品群や、革新的な納期短縮プログラムだ。こうした魅力を市場に浸透させるために、ThinkPad販売パートナーによるクロスセルも推進している。

グローバル企業としての強みを生かしつつ日本品質を実現

 ITインフラ機器の調達において、技術力と信頼性を重視する傾向が強まっている。そんな中、グローバル市場で確固たる地位を築いているのが、世界180カ国以上で事業を展開しているレノボだ。

 レノボのルーツは米国・ノースカロライナと中国・香港である。現在は全世界で評価されているグローバルワイドな企業と言える。事業規模を問わずあらゆる業種業界の企業がレノボ製品を採用し、その信頼性と革新性を高く評価。特に、グローバルサプライチェーンへの取り組みが優れた企業を評価する2024年の「Gartner®サプライチェーン・トップ25」でレノボは10位にランクインしており、卓越したサプライチェーンを持つ企業として広く認知されている。 

 また、レノボはグローバルな製造ネットワークを活用し、米国、日本、中国、アルゼンチン、ブラジル、ドイツ、ハンガリー、インド、メキシコなど、世界各地に30以上の製造拠点を展開。これにより、地域ごとのニーズに迅速に対応し、持続可能な製造プロセスを実現している。
 
早川哲郎 本部長

 レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ ソリューションアーキテクト本部の早川哲郎・本部長は「レノボは世界中の企業に選ばれるグローバルブランドであり、最先端技術と柔軟な対応力が私たちの強みだ」と語る。

 さらに、早川本部長はレノボが持つ豊富なポートフォリオにも言及する。

 「2004年のIBM PC事業の買収を皮切りにグローバル化を急速に進めている。14年にはIBMのx86サーバー事業とモトローラのスマートフォン事業を買収し、スマートフォンからクラウドインフラまでワンストップで提供できる企業へと進化した。現在の地域別売り上げ比率は、アメリカグループが34%、ヨーロッパ・中東・アフリカが26%、中国が22%、アジアパシフィックが18%と、非常にバランスの取れた比率になっている」(早川本部長)。

 この多極化戦略は近年さらに加速している。例えば、サウジアラビア政府ファンドからの投資受け入れにより新たな生産拠点が設立されるなど、グローバル規模でサプライチェーンが多様化される計画だ。

 早川本部長は「われわれはグローバルな力をローカルで生かす『グローバルマイト・ローカルパワー』を志向する。世界規模の技術力、調達力、開発力を持ちながら、日本においてはNECや富士通との合弁を通じて、日本の品質基準やビジネス慣習に合わせた製品とサービスを提供している」と話す。

圧倒的な競争力を下支えする 最新プロセッサー「インテル®Xeon®6」

 レノボの技術力を最も端的に示すのが、「スーパーコンピュータTop500ランキング」での実績だ。供給実績は6年連続で1位を維持し、500システムのうち約3分の1にあたる160以上がレノボ製サーバーを採用している。

 「この実績は、われわれのハードウェア開発力と品質の高さを証明している。さらに重要なのは世界をリードするクラウドサービスプロバイダー向けのカスタムサーバーを手掛けていることだ。これらの企業は要求仕様が極めて厳しく、レノボはそれに応えられる技術力と生産能力、そして価格競争力を持つ数少ないベンダーだ」と早川本部長は強調する。
 
櫻井義士 部長

 そのレノボが24年9月から25年5月にかけて出荷を開始した最新のThinkSystemサーバーについて、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズの製品企画本部の櫻井義士・部長は「インテル®Xeon 6 プロセッサーを搭載した新製品群は、前世代と比較して飛躍的な性能向上を実現している。1UコンパクトサーバーであるSR630 V4では、サーバーあたりのコア数が従来の128コアから最大288コア(Eコア)へと2倍以上に増加した。これは、大量のコア数を必要とする、クラウドサービスプロバイダーのニーズに応えたインテルの新しいアーキテクチャーだ」と説明する。

 2UサイズのSR650 V4は、CPU・メモリーに加えて内蔵ストレージとPCI Expressスロットのスケーラビリティーを重視したモデルで、高度な仮想化環境やAIなどのワークロードに向いている。そして、SR650a V4はGPU特化型モデルで、2Uサイズに高性能GPUを4基搭載可能。この密度は業界最高クラスで、AIや機械学習のワークロードに適している。

 レノボがいち早く最新プロセッサーに対応できた背景には、インテルとの強固な関係性があるという。「われわれはインテルと開発段階から密接に協業し、そのためXeon 6もインテルの発表と同時に製品を投入できた。この差が競争力の違いとなって表れている」(早川本部長)。

信頼性を支える冷却システム「Neptune」と障害自動通知「Call Home」

 性能向上に伴う発熱量の増加は大きな課題だ。前世代のCPUが350W程度だったのに対し、インテル Xeon 6では最大500Wまである。レノボはこの課題を、Neptuneテクノロジーと呼ばれる水冷却システムで解決している。

 「空冷では騒音や効率の問題が出てくるため、レノボは水冷を採用することで、より静かで効率的な冷却を実現しつつ、高発熱のハイエンドCPUでも1U・2Uという省スペースサイズへの収納を可能にした。データセンターの限られたスペースを有効活用しながら、インテル Xeon 6の性能を引き出せる」(櫻井部長)。

 もう一つ、レノボサーバーの信頼性を支える注目すべき仕組みが、障害自動通知「Call Home」だ。

 「障害が発生すると、その情報が障害ログとともに自動的にレノボのテクニカルセンターへ通報される。センターでは専門スタッフがログを解析し、問題箇所を特定。お客様が障害を認識する前に、われわれから部品交換の日程調整を連絡することもある。この迅速な対応が、x86サーバーの信頼性調査で1位を11年連続維持している大きな要因だ。追加費用やソフトウェアの導入は一切不要で、ThinkSystemサーバーを購入いただければ誰でも利用できる」(櫻井部長)。

 保守体制はIBMから引き継いだ高い水準を維持しており、そこにレノボの強力なサプライチェーンが加わったことで、より迅速なパーツ供給が可能になったという。

「Top Choice Express」で納期短縮を実現

 このように高性能サーバーの提供とプロアクティブなサポート体制を強みとするレノボだが、実は長年にわたり顧客から「サーバーの性能は良いが納期が遅い」と言われてきた。その課題の解決策として25年4月、新たに登場したのが「Top Choice Express」という仕組みだ。
 
関根治雄 本部長

 レノボ・エンタープライズ・ソリューションズの企画本部の関根治雄・本部長は「売れ筋製品を詳細に分析し、必要な部材を工場に常時在庫することで、多くの場合で発注から10営業日以内の工場出荷を実現している。これによって、エンドユーザーやパートナーを納期管理・問い合わせの負担から解放し、運用開始までのスケジュールをより円滑に進められるようにするのが狙いだ」と説明する。

 この取り組みの背景には、サーバー構成の複雑化がある。現在、1Uや2Uラックサーバーでは、CPUやSSDの選択肢が80種類以上もある。全ての組み合わせを潤沢に在庫することは現実的ではない上に、顧客の注文を難しくしていた。

 「そこで、われわれは売れ筋分析に基づいてCPUやSSDなどのオプションを厳選し、サーバー構成の作成に必要な手順をできる限り簡素化し、かつ、要件に合ったカスタマイズを可能にした。今後は、多くのお客様に高性能なサーバーを短納期で提供していく」と関根本部長は説明する。

 Top Choice Expressの効果を最大化するため、サーバー構成ツール(DCSC)も大幅に改良した。「Top Choice Express」のモードを選択すると、10営業日以内に出荷可能な選択肢にラベルが表示される。このラインアップは中堅・中小企業からエンタープライズまで幅広くカバーしており、価格も随時見直して価格競争力を強化している。
 

パートナーが「手軽に売れて儲かる」仕組みで市場を開拓

 このようにカスタマイズ(CTO)モデルを強化する一方で、従来のディストリビューター在庫モデルも継続している。他社が在庫モデルを縮小する中では特徴的な動きだ。

 「タワーサーバーなどは、引き続きディストリビューターの在庫モデルが有効だ。一方、複雑な構成が必要な案件にはTop Choice Expressで対応する。パートナー様は案件に応じて最適な調達方法を選択できる」(関根本部長)。

 同社はパートナーを通じた市場開拓にも意欲的だ。特に期待しているのが、ThinkPadユーザーへのクロスセルである。すでにレノボブランドへの信頼がある顧客層に対しサーバーソリューションを提案することで、効率的な市場開拓を狙い、ひいては日本の顧客がDXを具現化するための後押しとなるだろう。

 「サーバーを選定する際、必ずリストアップされる3社の中に入る状況にしたい。それにはクライアントからインフラまで全て提供できる数少ないベンダーであることを、より一層訴求していく必要がある。そこでパートナー様に対しては『手軽に売れて儲かる』仕組みを提供しようとしている。Top Choice Expressによる納期短縮、構成の簡素化による作業負荷軽減、そして価格競争力による適切な利益確保の支援。これらを実現することで、パートナー様のビジネス拡大を支援していく」と早川本部長は力を込める。
 


 

 
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外部リンク

レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ=https://www.lenovo.com/jp/ja