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i-PRO AIプロセッサー搭載カメラとAIアプリで防犯から業務DXまでを実現 グローバル300機種超のカメラ群と進化するAIがあらゆる現場の課題を解決

2025/06/30 09:00

週刊BCN 2025年06月30日vol.2065掲載

 i-PROは2019年にパナソニックから独立した国内メーカーだ。セキュリティーカメラで60年以上の長い歴史を持ち、最近では大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「null2」で採用されるなど 、国内セキュリティーシステムNo.1のシェアを誇る。世界各地で事業を展開し、カメラのラインアップは業界最多の300機種以上だ。IoT製品に対するセキュリティー要件適合評価・ラベリング制度「JC-STAR」の認証や、AIマネジメントシステムの国際規格 「ISO/IEC 42001」を取得しており、安全性や技術力はお墨付きだ。その同社が誇るAIプロセッサー搭載カメラについて、横光澄男・ディレクターに話を聞いた。

横光澄男
セキュリティジャパン事業戦略ディレクター

 これまでセキュリティーカメラといえば、もっぱら事件・事故の事後検証で使われるものだった。何かが起きたときに録画を巻き戻して再生することで、問題の瞬間を探し、状況の確認や証拠とするのが初期のセキュリティーカメラのスタイルだ。その後、遠隔からリアルタイムで監視またはオペレーションするようになり、今ではカメラに搭載されたAIが事象を検知し、通知のアクションを行うなど、セキュリティーカメラは業務DXを担う重要な手段へと進化してきている。

 国内の映像セキュリティー市場を見ても、従来型のカメラ・レコーダーの成長率と比較して、クラウドとAIアプリが大きな成長を遂げている。実際に最新のネットワークカメラには多数の技術革新が実装されており、例えばカメラ性能は大きく向上し、暗闇でも鮮明な映像を撮影できるようになった。また、AI技術を活用することで被写体を認識し、数多くのカメラ映像の中から素早く検索できるようになっている。

 市場の広がりの背景には労働人口減少の影響がある。これまでのように、人手による巡回や現場確認のための人員配置ができなくなってきており、セキュリティーカメラによるリモートモニタリングなどでの対応がどんどん進んできているのだ。同時に生産性を高める手段としてセキュリティーカメラが随所で活躍している。

60年の実績と業界No.1の製品が支える信頼

 AI搭載のネットワークカメラを提供しているi-PROもまた、映像セキュリティー市場をけん引している企業の一つだ。同社は2019年にパナソニックからカーブアウトするかたちで発足した。パナソニックは1957年に業務用セキュリティーカメラを開発し、同年には同軸ケーブルで接続する最初のアナログカメラを発売しており、セキュリティーカメラの歴史は60年を超える。

 そのパナソニックの歴史を引き継いだi-PROでは、グローバルで300機種以上のネットワークカメラを取りそろえる。これは業界最多の数だ。Xシリーズがハイエンド・業界特化モデル、SシリーズがAI機能を備えたスタンダードモデル、Uシリーズが基本機能とコストパフォーマンスを兼ね備えたエントリーモデルとなっている。

 各シリーズにはボックス型やドーム型など、一通りの形状がそろっており、防塵性や防水性、耐衝撃性、耐重塩害仕様を備え、RBSS(優良防犯機器認定制度)マーク、NDAA(米国国防権限法)準拠、2025年5月には映像セキュリティー業界で初となるJC-STARで「★1」適合ラベル、さらにAIマネジメントの国際規格となるISO42001認証も取得している。こういった各種規格や認証を通じて同社は技術力の高さと管理体制を証明し、信頼性につなげているのだ。

エッジAIがセキュリティーカメラのかぎ カメラ本体の内部で処理し高精度な映像解析を実現

 i-PROの技術で特徴となるのがエッジAI(AIカメラ)だ。一般的に被写体認識や映像分析など何らかのAI機能をネットワークカメラに実装するとなると、AI処理は負荷が大きいため、カメラ側のリソースでは足りずサーバーを用意して実行することが多い。しかし、i-PROのXシリーズとSシリーズはカメラ側にAIプロセッサーを内蔵している。

 i-PROの横光ディレクターは「カメラに搭載されたAIプロセッサーで映像処理を行うことで、映像を処理する側のサーバーやクラウドに大きな負担をかけることなく、トータルのコストを下げることができる」と説明する。

 人物や車両などの認識だけがAI処理とは限らない。i-PROのセキュリティーカメラにはさまざまなAIアプリケーション(機能拡張ソフトウェア)を導入できる。AIアプリの機能はさまざまで、例えば人物にボカシを加えるプライバシーガードや車両のナンバー検知など、要件に応じて自由に選ぶことができる。サードパーティーのものも含め、今後多様なものが登場していくだろう。

 さらにi-PRO独自であり業界初となるのが、現場学習だ。お客様の現場ごとに検知させたい対象物が異なることもあり、現場で検知させたい対象物を学習させ検知できるようにすることができる。例えば、倉庫でフォークリフトが進入禁止区域に入るとアラーム通知させたいなら、その倉庫で使われるフォークリフトを現場学習させれば、フォークリフト検知が実現できる。現場で学習をさせることでAIが賢くなるのが現場学習の利点だ。
 
名刺サイズのi-PRO miniは圧迫感を与えないため、
福祉施設などで好まれている

 i-PROの中でも優れたTCOとクオリティーを備え、採用が広がっているのが、エッジ記録型クラウドカメラサービス「i-PRO Remo」だ。AIを無料で手軽に活用できることと、優れた操作性とセキュア機能を有していることを売りにしている。また、i-PROが持つ豊富なラインアップからカメラを選択でき、その中でも名刺サイズのi-PRO miniはセキュリティーカメラ独特の威圧感がないため、介護現場といった福祉施設や店舗などで好まれている。録画データはクラウドではなくカメラに組み込んだSDカード、もしくはローカルのエッジストレージに保存し、クラウドにデータを保存するサービスに比べるとクラウド利用料を大幅に抑えられるのがメリットだ。

 監視対象の機密性により、高い安全性が求められることもある。その点、i-PROではIoTセキュリティーの高さが大きな強みだ。例えば、ネットワークセキュリティーとデータセキュリティーで安全性を確保している。前者については、FIPS 140-2 Level3に認定されたデバイスと第三者機関(GlobalSign)発行の電子証明書を使用したSSL通信を行うことで通信を保護しているため、高いセキュリティー性能を有している。後者は録画データを暗号化することでデータを保護する。また、IPA(情報処理推進機構)により運用が開始されたIoT機器のセキュリティー評価制度であるJC-STARにおいて、業界初となる「★1適合ラベル」を取得している。横光ディレクターは「i-PROのIoTセキュリティーの取り組みは業界の最先端を走っており、お客様に安心してお使いいただける機器を提供している」と強調する。

介護現場で訪室回数を半分以下に 製造や物流の現場で安全確認・生産性向上へ

 いまやネットワークカメラの目的は防犯や事後の検証だけにとどまらず、映像をAIで解析することでDXにつなげることが可能だ。実際に、介護・福祉の巡回低減、太陽光発電設備の侵入検知や盗難防止、製造や物流現場における安全確認や生産性向上などで広く導入されている。

 例えば、介護・福祉の現場向けには複数の見守りパッケージが用意されており、それらを活用することで遠隔から確認できるため訪室回数が半分以下に減ったケースもある。従業員の負担が軽減され、必要な訪室や介入のみに専念できるようになるため、サービス品質の向上につなげられる。またAIで入居者の端座(ベッドの端に座る)や離床を検知するようにすれば、起き上がりや転倒、徘徊の予兆検知にもつなげられる。プライバシーに配慮して、通常の監視にはモザイクをかけて、異常時にはモザイクを外すことも可能だ。

 横光ディレクターは「ほかにも施設内で人物属性をキーとして、迷子、徘徊老人、不審者などを検索するというユースケースもある。例えば『トップス:赤、ボトムス:黒』などメニューから属性を選択して検索すると、検索対象となる候補がリストアップされる。これによって早期の発見や保護につなげることができる」と説明する。

包括的なサポートと日本品質へのこだわり

 i-PROはパートナー支援として、各種トレーニングの実施、ショールームの利用、国内拠点で運営しているカスタマーサポート、各種ツール提供などのサービスを行っている。中でも東京・品川にある大規模なショールームが特徴的だ。各種ネットワークカメラがずらりと並んでおり、パートナーがエンドユーザーに実物を見せて説明することもできる。また、パートナーがアクセスするポータルサイト「My-iPRO」では販促資料はもちろん、あらゆる段階に応じたツールが充実している。
 
品川のショールームにはi-PROのセキュリティーカメラが展示されており、
パートナーも利用可能だ

 例えば、製品選定段階では「プロダクトセレクター」で最適な機種や付属品を簡単に選択できるほか、システム設計段階では「システムデザインツール」でブラウザーから設計可能だ。ほかにも設置段階では一括設定やキッティング梱包、運用段階ではリモートからメンテナンスができる。販売店などのパートナーをサポートするための仕組みが潤沢にそろっているといえよう。

 横光ディレクターは「i-PROは60年以上映像セキュリティー事業を継続し続けているメーカーであり、国内の責任あるメーカーとして日本で開発を行い技術力や商品力を培ってきた。そして、ネットワークカメラの堅牢さ、各種最先端技術を実装することでシステムの幅や可能性を広げてきた。これからも市場のニーズに応え、業務の効率化や社会の安心安全を実現していく」と意気込みを語った。
 
 
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外部リンク

i-PRO=https://i-pro.com/products_and_solutions/ja/surveillance