旅の蜃気楼

阪神タイガース、優勝

2003/09/29 15:38

週刊BCN 2003年09月29日vol.1008掲載

▼書店に出向いた。ありました。ずらりと並んだ阪神特集号。10種類は出ている。気分に任せて5冊を買った。星野仙一が宙に舞った付録は壁に貼っておこう。人の力は不思議なものだ。盛り上がるエネルギーを見ていると、応援の力が人の力をいかに倍増するかを目の当たりにする。力がありあまって、道頓堀に飛び込む様子は、日本中に蔓延するストレスの解消を、阪神ファンが代行しているようにも感じた。浅草で毎年開かれる三社祭のエネルギーの爆発にも似ている。

▼阪神が優勝した翌日、大阪に出向いた。街はどんなに盛り上がっているのかと思いきや…。全般的に静かなもので、そんなこともあったね、と冷ややかさすら感じた。もちろん、阪神優勝セールを開始した百貨店、ショップはその類ではない。まず、駅売りの新聞棚が賑やかになった。次に書店の棚も賑やかになった。ネットの中も賑やかになった。が、書籍の方に親近感を覚える。赤星が一撃して一塁を回って飛び跳ねる写真、星野監督が赤星を抱きかかえて迎える写真には、ジーンとしてしまう。期待し期待されて、それが形になった時の感動はすばらしい。

▼感動が満載の特集号の中で、出版社によって編集の特徴が出ているのも、興味深い。神戸新聞社系のデイリースポーツは、毎号報道した新聞記事に、味付けして、時系列で優勝までの軌跡をまとめた。それを見ると、阪神の強さはチームの全員で築いてきたものだ、と痛感する。日本スポーツ企画出版社は、阪神球団の歴史をベースにしながら優勝をその1ページに仕立てた。最後のページに、「村山さん、見てますか」の記事があって、編集子の世代に共鳴してしまった。ソフトバンクパブリッシングも特集を出していて、社長が阪神ファンなのか、機会があったら聞いてみたい。次のドラマが楽しみだ。(本郷発・笠間 直)
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