Letters from the World

米国で買った日本製品

2004/03/15 15:37

週刊BCN 2004年03月15日vol.1031掲載

 インターネットという媒体の進歩で世界が小さくなった。テレビのニュースでは出ていないような話題でも、インターネットを使って情報を収集することが可能な時代。そして多くの企業は、商品戦略を自国内消費から世界の消費者を対象とした戦略に変えている。自動車業界を中心に日本企業の多くは世界戦略を持って動き、成功している。私の会社は、電話会社の米ヴェライゾンから電話の交換機を購入した。電話交換の機材は日本のメーカー製のもので、色々なシステムの中から機能と価格を考慮して購入を決めた。まあ私が日本人であるということもこのシステムの導入を決めた要因の1つであることは言うまでもない。しかし、実際に導入してみていろいろと勉強になったことがある。

 まず、この電話交換機、米国の夏時間(1時間ずれる)に対応していない。年に2回エンジニアが来て交換機の時計をリセットする。交換機の時計をリセットしてはいくが、多くの場合ボイスメールの時計はくるったままだ。これはシステムの設計の誤り。それよりもひどいのが、システムのインストールに際して、ヴェライゾンにシステムを理解した人がいないということだ。エンジニアがマニュアルを持って会社に現れるという始末だ。導入後、本社とデータセンター間の通話ができなくなる問題が多発。インストールを開始してすでに数年が経過するが、未だにシステムは完全に納品された状態にはなっていない。

 日本製の商品だと安心して買ったが、商品によってはグローバル化が完全にはできていない。製品の機能として夏時間に対応できないという問題から、システムを販売、インストール会社がインストールを行えないという問題まで、数々の問題が残されている。これは決して特定のメーカーだけの問題ではない。インターネットで距離が短くなった世界市場。製品の世界市場への対応はできているか。製品の世界市場向け展開は、考える以上に大変な労力を必要とする。(米シアトル発:パシフィックソフトウェア パブリッシング 内倉憲一)
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