北斗七星

北斗七星 2004年6月21日付 Vol.1044

2004/06/21 15:38

週刊BCN 2004年06月21日vol.1044掲載

▼「売るのをやめる」、「やっぱり売る」。そんなドタバタ劇となったシャープとイオンの液晶テレビ取引問題。今月10日、シャープが台湾の東元電機製液晶テレビの国内販売停止の仮処分を東京地方裁判所に申請。これにイオンが反発。11日にシャープとの取引停止を発表した。ところが12日には一転。両社は和解を発表する。すぐやめるくらいなら最初からやらなきゃいいのに、と思ってしまうほどの茶番劇だった。

▼シャープとの取引停止を発表したイオンには、顧客から批判的意見が集まったという。「なぜシャープの液晶テレビが買えないのか」。また、販売の現場からも批判の声があがったらしい。「シャープ製品は重要な商材。オリンピック前の重要な商戦時期にそれを扱えないのは困る」。結局、取引停止は顧客と販売現場を無視した経営判断だったのではないか。

▼IT業界だけではなく、日本の景気をも牽引するといわれる〝新3種の神器〟。そのなかでも薄型テレビを巡る動きが激しい。松下電器産業はPDP(プラズマディスプレイパネル)の生産工場を兵庫県尼崎市に建設。デルは年内にもプラズマテレビ市場に参入する。富士通はサムスンSDIをPDPに関する特許権侵害で提訴(のちに和解)。各メーカーとも必死だ。そんななかでのシャープとイオンの出来事はあまりにも〝小さい〟。ようやく平成不況から抜け出そうとしている今こそ、メーカー、販売店、消費者の3者がともにWin─Winの関係になることを目指さなければならない。
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