Letters from the World

深センに地下鉄が開通

2005/01/10 15:37

週刊BCN 2005年01月10日vol.1071掲載

 深セン(シンセン)に待望の地下鉄が開通した。昨年末の12月28日の開通で、深セン市内の主要なスポットが結ばれたことになる。

 特に香港から深セン市内のアクセスが楽になったことは確かである。香港で公共機関の交通で便利なオクトパスカードという、プリペイドカードがそのまま使えるのもユニークな点である。

 一般乗車券はトークンというコイン式で、広州の地下鉄で使われているのとほぼ同じ。これは香港の地下鉄(MTR)や九龍鉄道(KCR)との互換性はないが、オクトパスカードをそのまま流通させたのは、将来の香港-深間の直行サービスを意識したものといえる。

 香港から深へのアクセスは需要がきわめて大きいにもかかわらず、あまり便利とはいえなかった。九龍鉄道かバスで香港と深センの間の国境を越えるしかなかった。

 九龍鉄道は羅湖駅が実質の香港側からの終点であり、そこからはタクシーかバスで深セン市内へ向かうことになる。これが地下鉄の開通で、直接の乗り入れはされていないものの、かなり便利になったわけである。

 初日の28日は午後の開通であるにもかかわらず、11万人が利用したという。

 元日から3日に、休日を利用した一般市民がこの新しい交通機関を利用したので、連日、駅も車両も大勢の人で埋め尽くされた。

 駅構内は、入り口などに突貫工事の名残ともいえる荒い作業のあとがまだ残っている。車両内の表示装置もまだ未完成である。おそらく昨年のうちになんとか開通にこぎ着けたというところであろう。

 一般市民も地下鉄自体に慣れていないし、また駅員自体も乗客の対応に不慣れである。したがって、至るところで混乱が見られたのはしかたがないことであろう。

 しかし、中国経済発展の象徴である深センにモダンな地下鉄ができたことは、喜ばしいことである。深センの国際的な知名度はますます向上することであろう。(中国・深セン発:アコードインターナショナル 原 真)
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