Letters from the World

中国の春節

2005/02/21 15:37

週刊BCN 2005年02月21日vol.1077掲載

 中国の春節(旧正月)休暇が始まった。つまり旧暦とも農暦ともいわれる、カレンダーの正月とその前後の休みのことである。

 旧暦であるから、西暦に相当する日付は毎年変化するが、今年の旧暦の1月1日は2月9日である。

 一般的な企業では2月5日から2月15日までを春節休暇とするが、各自がその前後に休暇申請をさらに追加するため、なかには2週間以上にも及ぶ長期の休暇を過ごす人々も多い。

 しかし、皆がこれら長期の休暇を優雅に過ごしているわけではない。

 中国では、帰省の行き返りだけで片道3-4日以上を費やす場合も多い。このような場合、実質の休暇が数日間しかないことも少なくない。したがって、この時期は、企業側も様々な対策を講じる必要がある。

 極端なケースでは、工場労働者のなかには、あまりにも辛い帰省の旅のため、春節の休暇で

一旦帰省すると戻ってこない人々も多いのだ。

 これを防ぐため、会社側が移動専用のバスを仕立てて、工場がある沿海部の都市と地方の大都市までの足を提供することもある。こうでもしないと、労働者を再び連れ帰ることができないのである。

 このように春節休暇の前後では人の移動も多いし、また、休暇の後は労働者自体の休みボケがあったりし、労働の質が低下したりする。

 海外の顧客も休み明けの製造ロットは要注意とする。なぜなら品質が低下し不良品の割合が増える事が多いのである。

 春節の前は師走なので、治安も悪化する。悲しいことだが、労働者のなかには、より多くのお金を故郷に持ち帰りたい一心に犯罪に走るケースもある。

 ひったくり、コソ泥も増えるので要注意である。弊社でも、1週間の間に、社員の宿舎に泥棒が入ったり、忘年会の帰りに社員の1人がひったくりにあうなど、2件もの犯罪に巻き込まれてしまった。

 中国での経営には、このような人事管理の苦労とリスクマネジメントが必須である。(中国・深セン発:アコードインターナショナル 原 真)
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