北斗七星

北斗七星 2005年10月17日付 Vol.1109

2005/10/17 15:38

週刊BCN 2005年10月17日vol.1109掲載

▼大音響ともに、赤いドレスを着た美女が登場し、テレビ画面で囲まれたステージの上で踊り始める──。アジア最大級の映像・情報・通信の国際展示会、「シーテックジャパン」が今月上旬に千葉・幕張メッセで開催され、5日間に前回を約2万人上回る19万9680人が押し寄せた。期間中、次世代DVD規格の主導権争いや、燃料電池携帯電話などが話題となったが、会場を歩くと大画面テレビと女性コンパニオンによる派手な演出ばかりが目立つ。

▼そんな中で、北斗子は電子タグの展示がどうなっているのかをチェックして回った。「2006年8月までに5円タグの量産化をめざす」としてスタートしたあの〝響プロジェクト〟がどうなったのかが気になったからだ。しかし、残念ながら受託先の日立製作所のブースにも、RFIDの共同展示コーナーからも〝響〟の姿は消えていた。

▼今年春にISOで響の国際標準化が見送られたことで、プロジェクトの見直しは避けられないとの見方が浮上していたのは確か。8月の概算要求でも、経済産業省の電子タグ予算は今年度実績の31億円から10億円へと激減。これから本格普及期を迎えようとしているにも関わらず、説明責任を果たさないままだ。かつても当初の目的があいまいになったまま収束していった〝シグマ計画〟などのプロジェクトがあったが、同じ末路をたどることになるのだろうか。「5円タグが実現しなかったなら、霞ヶ関を逆立ちして歩く」との大見得を切れば済む話ではない。
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