北斗七星

北斗七星 2005年10月31日付 Vol.1111

2005/10/31 15:38

週刊BCN 2005年10月31日vol.1111掲載

▼金融庁が進めている「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」の策定作業を受けて、企業の内部統制に関する情報システムビジネスが活発化している。米国の企業改革法、いわゆるサーベンス・オクスリー法(SOX法)を受けた、日本版SOX法に対応しようという動きだ。米国で起きたエンロンやワールドコムの巨額粉飾事件、日本でのカネボウの有価証券報告書虚偽記載問題。最高経営責任者(CEO)や代表取締役社長自らが不正に関わったとされる。企業を見つめる社会の目はかつてないほど厳しい。

▼「社内の業務プロセスを見直し、効率的かつ強力なシステムを構築し、株主価値の向上に資する」。ERP(統合基幹業務システム)大手、SAPジャパンの新製品発表会でのひとこま。そこで紹介されたのは、ERPの新製品ではなく、日本版SOX法に対応した企業の内部統制ソリューション。「内部統制の説明会をすると、財務部や監査部門の人が集まる」。企業の法令遵守や不正防止もITに頼らなければならない時代になった。

▼米国では、2004年12月決算の上場企業の10%が内部統制で重大な欠陥を報告し、そのうち半部の企業で最高財務責任者(CFO)が交代した。コーポレートガバナンスの原則は透明性の確保。そのためには「プロセスのブラックボックス化をいかになくすか」だという。ITと日本版SOX法で旧弊な企業体質に風穴をあけることができるか。米国の波は1年遅れで日本にやってくる。襟を正す企業が増えれば大歓迎だ。
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