北斗七星

北斗七星 2006年2月6日付 Vol.1124

2006/02/06 15:38

週刊BCN 2006年02月06日vol.1124掲載

▼耐震強度偽装事件、ライブドアショック、米国産牛肉輸入再開問題が相次ぎ表面化したことで、小泉構造改革への批判が噴出し始めている。昨年9月の総選挙で自民党が圧勝した後だけに、政治的な揺り戻しという側面もありそうだが、建築と金融分野での規制改革が原因となって生じた問題だけに政府への批判は避けられないところだ。しかし、重要なのは今後の対応である。これまで進めてきた構造改革が逆戻りすることはないとは思うが、時にして過剰な対策が講じられたり、しばらく思い切った規制改革に踏み出せなくなったり後遺症が残ることも懸念される。

▼先日、あるITベンダー首脳と会ったとき、何度も言い古されてきた発言が飛び出した。「やはり経済産業省にとってシグマ計画の失敗がトラウマになっているのだろう。それ以降、情報サービス産業のあるべき将来像を描けなくなっている」。技術革新の激しいIT分野において有効な産業政策を打ち出すのは難しいのかもしれないが、いまだに情報処理〝振興〟の領域から抜け出せない状況にある。

▼各府省で産業政策を担当する部門のうち〝振興課〟という名称が付いた主な組織を調べてみると、農水省の食品産業、畜産、国土交通省の建設、旅行、そして経済産業省の情報処理と総務省の情報流通などがある。振興が付いている限り、その分野に政府のカネが投入され、企業の再編・淘汰に踏み込むような施策も打ち出しづらい。日本のIT産業を強くしようとするなら、まず〝振興〟を取り外すことだ。
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