北斗七星

北斗七星 2006年3月6日付 Vol.1128

2006/03/06 15:38

週刊BCN 2006年03月06日vol.1128掲載

▼「日本のIT産業の国際競争力が高まらないのは、ユーザーが賢くないから…」。3、4年前のこと、経済産業省の官僚にエンタープライズアーキテクチャ(EA)を導入した理由を尋ねたとき、こんな答えが返ってきた。「日本市場で成功すれば世界でも通用する」と称される賢い消費者を背景に、高品質・性能の〝ものづくり〟で経済大国となった日本も、ことITでは賢いユーザーに恵まれていなかったのだろうか。

▼ITは、情報を電子化し管理しやすくすることで透明性を高め、業務の効率化などさまざまな効果をもたらす。モノの情報を管理する分には問題はないのだが、ヒトの情報となると途端に異論が噴出してくる。モノづくりの分野ではITを賢く使いこなしても、住基ネットが社会問題となった行政分野、少子高齢化で抜本的な改革が求められる医療分野、学力低下が心配される教育分野など、ヒトの情報を取り扱う領域でIT化が遅れていたことと無関係ではない。

▼ヒトの情報を取り扱う基盤となる個人情報保護法が全面施行になってから4月でようやく1年が経過する。これまでは情報漏えいを防ぐ管理体制を敷くので手一杯で、有効活用を論じる段階ではなかった。しかし、4月には政府の情報セキュリティ基本計画が動き出し、5月にはJISQ15001が個人情報保護法を踏まえて改定され、「個人情報保護マネジメントシステム─要求事項」の名称で告示される。これらを踏まえてITベンダーが社会に対して、どのような提案ができるのか。ユーザー云々はそのあとだ。
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