北斗七星

北斗七星 2006年3月13日付 Vol.1129

2006/03/13 15:38

週刊BCN 2006年03月13日vol.1129掲載

▼紙出力装置は集中管理すべきかどうか。個人情報保護法の施行や、実際の情報漏えいは紙によるケースが多いことなどが明るみにでるにつれ、注目されてきたテーマである。コピー機メーカーはその対策として、MFP(多機能デジタル複合機)への一本化による集中管理体制の確立を目指し、自らモルモットとなってきた。キヤノン販売は品川への本社ビル移転、リコーは銀座本社への移転を契機に、プリンタやFAXを社内から追放、コピー系MFPに一本化すると共に、実際のオフィスをショールームとしてユーザーに公開するという思い切った措置を取った。

▼結果はどうだったかといえば、極めて不評のようだ。その一端は、前号掲載のメーカー5社座談会でも触れられているが、要は使い勝手が悪すぎるというのである。これまでのプリンタなら、指示を出すだけでプリントアウトしてくれる。少し時間をおいて、そのプリンアウト用紙を取りに行くなどの使い方ができた。しかし、それは許さんというのが集中管理の発想である。

▼セキュリティ対策というのは、実に頭の痛い問題だ。性善説を信じて、セキュリティ対策を講じなければ、手ひどいしっぺ返しを食うかもしれない。社員教育をどんなに充実させても、不心得者の根絶は難しいだろう。IT化の恩恵を受け、その便利さに慣れてきた者にとって、一部とはいえその便利さを取り上げられるのは苦痛だ。だが、性善説を信じられない以上、ある程度の苦痛・不便には耐えねばならないというのがこれからの時代のようだ。
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