北斗七星

北斗七星 2006年4月3日付 Vol.1132

2006/04/03 15:38

週刊BCN 2006年04月03日vol.1132掲載

▼小泉内閣が標榜する「改革」にほだされたわけではないが、本紙編集部では、若手記者を中心に〝刷新〟に向けた議論が盛んに行われている。時に過熱し、脱線し、気がつけば夜の10時を回っていることも珍しくない。

▼一般に活字メディアの〝刷新〟は、紙面の見せ方をガラッと改めることを指す。活字を大きくする、グラフやカラーを使う、新しい連載を始める、判型(紙面のサイズ)や紙質を変える……等々。目新しさを打ち出すばかりでなく、読みやすく、分かりやすい紙面づくりに読者の声を反映し、自らを改革していこうとする。

▼本紙での議論が行き着くところは「背伸びをせず、現状に甘んじず、今後を見据えて」──だが、過日、さて自分たちが取り付いているのはナニモノであるのか、という議論になった。つまり本紙の位置づけと役割の再確認ということだ。

▼現在のIT産業は、たとえて言えば起伏の多い茫漠とした草原のようで、捉えどころがないように見える。おそらくそれは、IT産業に限ったことではなく、また経営者、就労者に限ったことでもない。社会全体が旧来の枠組みで捉えきれなくなっているのではないか。そのとき必要なのは、初心に立ち返ることと議論を積み重ねることだ。あれこれ考えなければならないので面倒だし時間がかかる。議論の相手を傷つけることがあるかもしれない。だがそのプロセスから、向かうべき方向性が見えてくる。インターネットと携帯電話で簡単に情報が手に入る時代だからこそ、必要なのはそれではあるまいか。
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