北斗七星

北斗七星 2006年8月14日付 Vol.1150

2006/08/14 15:38

週刊BCN 2006年08月14日vol.1150掲載

▼09年からの株式の電子化を控えて、証券会社などのシステム対応が待ったなしの状況にある。欧米に比べて証券、金融機関での電子化は遅れている。ネットトレーディングが急速に普及してきたとはいえ、実は売買を受け付けるフロントのシステムから、バックオフィス業務までが完全にシステム連動している証券会社は少ない。そのため指定した売買の成立条件を確認する約定確認から、代金決済と株式の受け渡しまでにはネット取引でも3─4日の期間がかかるというのが現状だ。

▼それにしても証券会社に預けていない「タンス株券」は180億株もあり、時価総額は7兆円に上るという。個人株主からこうした株券を回収して電子化し、国際為替取引にも対応したシステムを導入するには、膨大な手間とコストがかかる。むろん電子化のメリットは大きい。発注から決済までの期間が中1日程度で済むため、国際売買に伴う為替変動のリスクが低減できるほか、最終的には世界のどの株式市場とも連動して、24時間の国際的な株式売買が可能になる。

▼いいことづくめのようだが、企業を取り巻く環境は厳しさを増す。上場企業にとっては短期間に世界的規模のM&Aにさらされるというリスクもある。局地的なろうばい売りが瞬く間に地球規模で伝播し、株価が乱高下するという懸念も払拭できない。何よりシステム業界にとっては欧米の世界標準を受け入れるだけで独自のシステム構築の余地は少なそうだ。この図式だけは今回も変わりそうにない。
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