北斗七星

北斗七星 2006年10月23日付 Vol.1159

2006/10/23 15:38

週刊BCN 2006年10月23日vol.1159掲載

▼ワールドカップ南アフリカ大会に向けてオシムジャパンの体制づくりが始まった。「考えるサッカー」の実現を目指しているという。中継放送を見るたび、もたもたしたボール回しや相変わらずの決定力不足にイライラすることが多かった。しかし3─0で快勝した過日の対インド戦は、国内組の新顔が機動力を発揮し始めたかに見える。

▼同じく新顔をそろえた安倍内閣は、発足早々に中国、韓国との関係改善に乗り出し、北朝鮮の核実験の翌日には安倍首相が「非核三原則堅持」を言明した。滑り出しの評価はまずまずだが、内政の前面に掲げる「再チャレンジ」「国際競争力の強化」はどうだろう。産業界はリスクヘッジが先行し、わが身を削って利益を出す構造。摘発が相次ぐ偽装請負がその典型で、この10年で非正社員、派遣就労者が就業者の3割に達したのは政府が後押しした結果ではなかったか。

▼もう一つ首を傾げたくなるのは、内閣のITに対するスタンスだ。これまではIT担当大臣が置かれ、「世界最先端のIT国家を目指す」という姿勢が示された。ところが、安倍内閣では「その他」に追いやられてしまった感が強い。案の定、情報産業振興議員連盟の額賀福志郎会長が「IT重視の長期的な国家戦略」を内閣府に申し入れ、経済産業省は大航海プロジェクトの梯子外しに警戒を強めている。勝っても負けてもオシムジャパンは常に見直しが必要だが、IT軽視の産業政策はやり直しがきかない。
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