▼コンピュータの歴史は「集中」と「分散」を繰り返しながら、進化してきた。本号の特集にあるように、パソコンの誕生とともに始まった「集中から分散へ」という流れが、再び「集中化」へと大きな揺り戻しの時期を迎えている。一見すると先祖返りのようにも見えるが、実はヒトの脳内ネットワークも同じように分散と集中の間を揺らぎながら、進化しているらしい。

▼脳のシナプス形成は誕生から1年ほどで、人生でもっとも密度の高い時期を迎えるという。五感をフル動員して外部環境への適合を探るために、シナプスが爆発的な生成と消滅を繰り返すなかで回路が形成され、不要なシナプスが整理されていく。1年足らずの幼児の脳のなかで、生き残るのに必要な能力の選択と集中が繰り返されるわけだ。

▼サーバー統合による集中管理は、ネットワークの最適運用やセキュリティ確保のうえでは有効だ。しかし、インターネットの開放系文化とどう折り合いをつけていくかは難しい問題だ。サイバースペースは、その多様性ゆえに犯罪や中傷の温床であると同時に、ナレッジの宝庫でもある。

▼業務効率やセキリュテイ確保を目的に、エンドユーザーの情報活用を管理しようとすれば、当然ネットへのアクセスにも一定の制限が求められるだろう。企業システムが閉鎖系への道を辿るとすれば、現在のネット文化も変質を迫られることになる。ネットワークの問題は、パソコンがもたらした情報文化にとっても大きな転機となりそうだ。