北斗七星

北斗七星 2006年11月13日付 Vol.1162

2006/11/13 15:38

週刊BCN 2006年11月13日vol.1162掲載

▼携帯電話の「ナンバーポータビリティー」(番号継続制度)を巡り、ソフトバンクモバイル、NTTドコモ、KDDIの3社が「うちのほうが安い」と激しい舌戦を展開している。ソフトバンクのシステム不調というマスコミを喜ばさせる問題も発生、一部週刊誌はソフトバンク叩きに走り出してもいる。今度の問題で、携帯電話の料金体系がこんなに複雑だったことを初めて知ったが、儲けすぎたかどうかはおいて、ソフトバンクの挑戦が複雑な価格体系を白日の下に晒し、価格破壊をもたらす可能性を秘めていることは確かであろう。

▼歴史を振り返ってみると、いま日本がインターネット大国になれたのは二人の先覚者がいたからだと考えている。東京めたりっく通信の東條巌社長とソフトバンクの孫正義社長だ。e─Japan計画の後押しなどもあったが、個人名を出すとしたら、この2人がADSL普及の最大の功労者だろう。新宿駅南口の東京めたりっく通信のショールームで、初めてADSLを体験した時の感動と興奮をいまでも思い出す。

▼今回、とくに問題になっているのは、「無料問題」だ。ソフトバンクの通話無料は加入者同士に限られ、同社の現在のシェアは16%だから、無料を享受できる人間はホンの少数、というのがドコモの主張だ。ソフトバンク側の広告表現にも問題があり、公正取引委員会はその辺りを問題にしたようだが、いずれにしても、ソフトバンクが真の価格破壊をもたらせばユーザーは支持するに違いない。
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