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「J-SOX法」対応遅れは依然深刻

2008/06/09 15:37

週刊BCN 2008年06月09日vol.1238掲載

 アビームコンサルティングや大塚商会、マイクロソフトなど36社の有識者が2007年11月に立ち上げた任意団体「After J-SOX研究会」は、「日本版SOX法」の対象企業の対応遅れに警鐘を鳴らしている。

 同団体の調査レポートによると、以前から指摘されていた準備遅れは今も続いており、09年初めでも同法への対応がほぼ完了する対象企業は71%にしか到達しないという。残りの29%は対応できないというわけだ。

 別のこんなデータもある。対応準備を進めているなかで顕在化した運用上の不備に、「未着手または着手段階」なのは、08年初めの段階で83%に達する。もっと深刻なのは、09年初めの段階で運用不備への改善が「間に合わない・重要な欠陥が残る」対象企業は20%はあると推定している。

 この調査結果に、同団体の運営委員は、「今の段階で2割の企業が『間に合わない・欠陥が残る』と感じてしまうのは明らかに問題。5社のうち1社は、すでにギブアップしているようなもの」と、強い懸念を抱いている。

 「今後は外部監査コストも対象企業の肩に重くのしかかってくる」(アビームコンサルティングプロセス&テクノロジー事業部の永井孝一郎プリンシパル)。内部統制という新たな仕組みが、対象となる上場企業を苦しめる状況はしばらく続きそうだ。
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