▼スポーツ競技には、さまざまな人生の縮図が見える。だからこそ人はアスリートに共感し、感動するのだろう。北京五輪で印象に残ったのはレスリングの浜口京子さんの笑顔だ。金を逸した無念さをきれいに拭い去って、満面の笑みで銅メダルを掲げる姿は清々しさにあふれていた。「金でなければ意味がない」という選手もいる。その意気込みは良しとしても、独りよがりの傲慢さが鼻につく。実績とは所詮過去のもの。目の前の相手と真剣に組まずして、それを口に出すのは驕りだろう。

▼それにしても中国の強さは圧倒的だ。開催国の威信をかけて選手強化を図ったにしても、国力の勢いがそのまま獲得メダル数に現れている。北京五輪は中国の躍進を世界に示す檜舞台となった。1964年の東京五輪で日本が世界の先進国に名乗りをあげた頃とよく似ている。半世紀を経てその役回りは中国に移ったということだろう。

▼五輪会期中の18日、日本経済新聞が興味深い記事を載せた。今年4-6月期に日本の主要製造業が世界から稼いだ利益のうち、中国など新興国の比率が全体の23%を占めて米欧と逆転したというのだ。日本の最大の経済的パートナーが、米国ではなく中国になる時代がいずれやってくる。ひるがえってSI産業はどうか。流通や製造業の情報インフラ構築ではまだ日本の先行ノウハウは強い。市場としての中国とどう向き合うのか。手をこまねいたままでは、日本が発注し中国が受託するという図式は早晩逆転しかねない。