北斗七星

北斗七星 2008年10月13日付 Vol.1255

2008/10/13 15:38

週刊BCN 2008年10月13日vol.1255掲載

▼金木犀の強い香りが漂ってくる朝の通勤途上、次期衆院選挙を控えた議員候補の「辻立ち」姿が目につく。金木犀の花言葉「変わらぬ魅力、真実」の香を強く放った人こそが有権者の支持を得て国政へ導かれる。「政権選択選挙」などと喧伝されているが、投票率は如何。

▼日本の「選挙制度」の歴史は案外と浅い。1889年に大日本帝国憲法発布で制度が誕生。1919年までは資産家の成人男子に限られた「制限選挙」が続き、1925年に財産差別が撤廃。女性に選挙権が与えられたのは敗戦後の1945年。真の「普通選挙」はまだ63年しか経っていない。

▼大正・昭和期の運動家で自らも国会議員だった市川房枝は、1924年に「婦人参政権獲得期成同盟会」を結成し、公職追放の憂き目に遭いながらも戦い続けた。いまさら長々説明するまでもなく、これは衆知の話であるはずだ。ただ、投票所に足を運ばない人たちに、「選挙権」獲得に身を削った先人がいてこそ現在の「普通選挙制度」があることを改めて知ってほしい。

▼2002年2月には「電磁記録投票法」が施行された。同年6月には岡山県新見市で初の「電子投票」が実施された。しかし実際は、「紙と鉛筆」が「コンピュータ」に変わっただけで、投票所に行く手間は残されたままである。ネット書き込みを苦にしない世代には、自分のPCで投票する方法は最適だろう。それを実現するためには、ネットワークの信頼性をより高める技術的な進歩が求められる。
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