北斗七星

北斗七星 2008年10月20日付 Vol.1256

2008/10/20 15:38

週刊BCN 2008年10月20日vol.1256掲載

▼今年は秋刀魚が豊漁で値段も手頃だ。秋刀魚は胃袋を持たないので、餌を食べて30分程度で排泄するそうだ。内臓にえぐみがなく、たっぷり脂がのった身と腸(わた)を丸ごと塩焼きにして食すと美味極まりない。

▼古典落語に「目黒の秋刀魚」という噺(はなし)がある。江戸の殿様が目黒まで鷹狩に出向いた際に、秋刀魚を食した。その殿様は、この味が忘れられず塩焼きを出すよう命じた。しかし、お付きは気を利かして脂を抜き小骨や腸を取って皿に盛った。当然、不味い。そこで「秋刀魚は目黒に限る」と落ちる一席だ。秋刀魚は水揚げ後に2─3時間塩漬けすると脂ののりがよくなり、絶品となる。目黒は行商人が浜から歩くとこの時間に相当し、秋刀魚が旨くなるところに位置していた。

▼マイクロソフトの自社集計によると、仮想化の普及率は世界平均が10%に対し、日本やアジアが3%と低い。IT製品がコモディティ化し差別化が難しい時代に、仮想化技術は他社との差別化に悩むSIerが顧客にITシステムを提供する際の“味付け”として脚光を浴びている。企業のIT投資の行方は混沌としている。IT関連予算見通しの下方修正が著しいなか、「経営陣がITを経営スリム化の手段とする」(米ガートナー)と、金融危機にもかかわらずIT投資が微減にとどまるとの見方もある。旬で安価なIT製品に合った調理法やユーザーの好みに即した工夫が加わることで、殿様(企業経営者)の納得も得られる提案ができるはずだ。
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