北斗七星

北斗七星 2009年3月9日付 Vol.1275

2009/03/09 15:38

週刊BCN 2009年03月09日vol.1275掲載

▼ネットの普及は、テレビなどのマスコミ媒体では得られない情報を知る機会をもたらした。最近よく目にするのが、「原因不明の病気」やガンなど「不治の病」を患う人たちが運営するネット・コミュニティだ。こうした同じ悩みを抱える人同士が「心を癒す場」として、ネットが存在価値を高めている。「誹謗・中傷の道具」とされることがままあるにせよ、心の関係を築く「社会インフラ」としての使われ方にもっと注目したい。

▼病名を告げると笑われそうだが、「むずむず脚症候群」という原因不明の病がある。中枢神経における鉄分不足による代謝異常で、脚がむずむずしたり、ほてったりで、睡眠不足になる。それほど深刻ではない病のようだが、〝患者〟には耐え難い。こらえきれずにネットで症状を検索する。そして、「友の会」なる救世主を探し出し、悩みを共有して心をケアする。

▼いまや若い人たちにも発症するのが「痛風」だ。ネット検索にすがると、実に多くのコミュニティを発見できる。痛風の原因となる「プリン体」という言葉が洋菓子のようで滑稽だが、この摂取量を減らす予防策として〝学者の卵〟が研究し、ビールの銘柄別のプリン体含有量を示すサイトすらある。

▼ガン患者は、自分と同じ苦しみや人生観を分かち合えるネットの「向こう側」の人たちと交わす会話で安らぎを覚えると聞く。医師の言葉さえ患者に届かないことがある。健全なネット社会は、こうした心の隙間を埋める場になってほしい。
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