▼後に大蔵大臣まで上り詰めた武村正義氏の滋賀県知事選挙で「選挙参謀」を務めた人物がいる。東京都下で余生を過ごすその当人を訪ねた。東京都知事選や都議選、全国で関わった選挙は勝率8割以上の実績を誇ると豪語する。1974年に武村氏を県知事選挙で当選させた“凄腕”が成せる業だ。

▼彼は、政治家への道はまずは「地元の要職に就くこと」と、選挙に勝つ極意を述べる。要職とは、報酬を求めない消防団長やPTA会長などボランティア職をさす。普段から地元で顔を売り込み、選挙に挑む。目標とする選挙を定め、着々とこうした実績を積み重ねれば、「集票マシーン」として団体所属員が大活躍するのだという。

▼だが最近は、こうした手法が選挙活動で「決め手」にならなくなった。千葉県知事選ではタレント出身で元衆院議員の森田健作氏が圧勝。宮崎県、大阪府に続き、知名度を生かした「風頼み」ながら選挙戦を制した。次の国政選挙で首相就任への期待が大きかった民主党の小沢一郎党首が疑惑に苛まれ、「献金まみれの政治家」に対する不信感が「新たな風」を望んだ。

▼西松建設は行き過ぎだとしても、建設業界に比べてIT業界は政治へのロビー活動に無頓着すぎる。国や地方自治体の予算にIT振興費が計上されにくいのは、それが一因かもしれない。民間のIT投資が鈍り、公共予算に頼る時でもある。首長のさじ加減で格差が生じる地方のIT予算。業界全体で政治に対して、ITの威力を売り込もう。