▼北朝鮮が「飛翔体」を発射した。事前通告日から2日間、行政機関は厳戒態勢を敷いた。発射の前日、緊急情報ネットワークシステム「Em-Net(エムネット)」と呼ばれる政府のシステムが初稼働。ここから自治体への第一報は「誤報」だったが、翌日の第二報を受けて防災無線やFAXで全国へ伝達できた。結果的に非常時の「疑似訓練」を体験したことになる。

▼エムネットは総合行政ネットワーク「LGWAN」を利用して、緊急情報を自治体へ伝える仕組み。緊急時に専用線を介して警戒を呼びかける早期連絡網だ。今回は北朝鮮の事前通告があり、準備万端で稼働したので、「防災の日」に行う防災訓練と同じ。予期せぬ緊急時には、自治体などが瞬時に関係各所へ内容を伝達できるかどうか疑問だ。

▼最近では防災にまつわる用途で気象庁の「緊急地震速報」や消防庁の「全国瞬時警報システム(J-ALERT)」などで行政機関から緊急情報が届く仕組みが整備されている。ところが、災害時の報を受けたあとに、情報収集や意思決定を迅速化するためのシステムが確立されていない。今回も住民は、逃げるならどこへ避難すべきかも分からずじまい。

▼エムネットは1システムにつき1000万円弱を要するといわれる。財政力に乏しい自治体が購入するにはハードルが高い。いまは音声・映像システムなどで「伝える」有力システムが多くある。これらを関連づけた連絡網を整備した「安全網」の確立が急務だ。