北斗七星

北斗七星 2009年5月4日付 Vol.1283

2009/05/04 15:38

週刊BCN 2009年05月04日vol.1283掲載

▼複数の品種を人工交配し食用豚の肉質が高められる。こうしてできる「ブランド豚」は世界各国で味を競う形で生産され、土地土地の食文化とも深く結びついてきた。その豚が「感染の火種」になる気配だ。メキシコで発生した「豚インフルエンザ」。2003年の肺炎「重症急性呼吸器症候群=SARS」に匹敵するほど、世界経済に沈滞感をもたらす懸念が拡大している。

▼南米を「次の市場」にと目論む某プリンタメーカーの社長は「欧米、中国に次ぐ有力市場。ここでのブレーキは困る」と、感染の広がりを懸念する。かつてSARS蔓延の際は、感染封じ込め策の措置で中国などへの渡航が規制された。今回も同様の措置がなされれば、勢いを殺がれることになってしまう。

▼南米はブラジルを中心に急成長する新興諸国として注目が集まるだけでなく「有力ディーラーが多い」(業界関係者)と、流通網を期待して進出機会をうかがうITメーカーは少なくない。ソフトウェア開発ベンダーにとっても、オフショア開発で「次の開発拠点」として期待するエリアだ。米調査会社ガートナーによれば、メキシコ、ポーランド、ベトナムは「オフショア受託国」として米国ソフト会社の中で〝赤丸急上昇〟という。南米を目指す日本ベンダーもあり、影響は少なからず及びそうだ。

▼ところで豚インフルエンザだが、鳥型と人型の両方のウイルスに変異するというから驚く。元々豚は、人間が作った「人工物」。ここに、有用性を優先した科学技術の光と影が垣間見える。
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