北斗七星

北斗七星 2009年8月10日・17日付 Vol.1296

2009/08/10 15:38

週刊BCN 2009年08月10日vol.1296掲載

▼戦後初の「政権選択選挙」といわれる衆議院選挙が佳境を迎えている。各政党は、「マニフェスト」を掲げ、政策論争を繰り広げている。通勤に使う某駅前の広場、解散の翌日にお馴染みの顔があった。福田政権末期から麻生政権末期まで「そろそろ選挙がある」と噂されるたびに同じ場所に立ち、有権者に向けて声を枯らしていた人物だ。解散の日程が読めず、選挙運動資金が底を突く寸前だったと、流れ落ちる汗をぬぐった。

▼自民、民主両党の「マニフェスト」が出揃った翌週、その候補者がまた同じ場所に陣取っていた。意地悪な有権者が彼に問いかける。「俺の業界はどうなる?」。追いかけるように問うてみた。「IT業界の支援はどうなる?」──。だが、「たしかに重要ですが、IT業界に特化した公約は…」と、つれない返事。経団連と経済同友会、二大経済団体のトップにIT業界の重鎮が就いているというのに、ロビー活動はいまだ成果を現していないようだ。

▼本紙で何度も指摘しているように、OECD加盟国の先進国中で日本は労働生産性が最下位レベルにある。上位国と比べるとIT整備やIT利活用に遅れが目立っていることが要因。逆にいうと、IT業界が活性化しない状況は、日本経済が発展途上である証といえる。両党の「マニフェスト」にはITの文字は皆無。景気低迷の下、生活優先の施策を前面に打ち出すのはやむを得ない。だが、「産業界を活性化するためにITをどう使うか」という議論はぜひ戦わせてほしい。
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