BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『松下幸之助 7つの「修羅場」』

2009/10/29 15:27

週刊BCN 2009年10月26日vol.1306掲載

 少し大きめの書店へ行くと、必ず目につくのが、いわゆる“幸之助本”。経営の神様は、ありとあらゆる角度から分析され、さまざまな切り口の書籍となって私たちの前に姿を現す。書店の棚に並ぶ数々の本のなかから、思わず手を伸ばしたのは、「7つの『修羅場』」というタイトルに惹かれたからだ。

 著者は前書きで、「古きと新しきの戦いの最前線は、常に修羅場であった。そしてその修羅場には、平穏無事なときには見えなかったものが見え、それまでなかったものが現れてくる。だからこそ、大きく成長するチャンスが潜んでいる」と述べている。希代の名経営者と称される松下幸之助が遭遇した「修羅場」とは、どんなものだったのか、それをどう乗り越えたのか──。

 本書には七つの“修羅場”が取り上げられている。すなわち、「不況との戦い」「外圧との戦い」「ライバルたちとの戦い」「時の変化との戦い」「新技術との戦い」「価格破壊との戦い」「理不尽との戦い」である。

 「不況との戦い」の項では、「景気が悪い? そら、結構なこっちゃ」という刺激的な言葉が披露されている。こんなときこそ、良い商品を売っている会社が成功するチャンスなんや、と。全篇この調子で、修羅場にあって逃げない姿勢を貫いた幸之助哲学が散りばめられている。幼い頃から病弱だったという幸之助はんは、そのハンデをものともしない胆力に恵まれていたことがよく分かる。(止水)


『松下幸之助 7つの「修羅場」』
竹内一正著 アスキー新書(752円+税)
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