北斗七星

北斗七星 2010年1月25日付 Vol.1318

2010/01/28 15:38

週刊BCN 2010年01月25日vol.1318掲載

▼2015年にも上場企業の連結決算で強制適用になる国際会計基準(IFRS)。この「中小企業版IFRS」となる会計基準の作成に企業会計基準委員会(ASBJ)や日本経団連などが乗り出す。上場企業に適用される「完全版IFRS」ではなく、簡素化した会計基準の検討だ。IFRSの財務諸表は現行のものと異なるため、中小企業は混乱をきたすだろう。しかし、この変革はIT業界にとってビジネスチャンスとなる。

▼ASBJなどが検討中の「中小企業版IFRS」は、非上場企業で海外展開する企業に限定されている。ただし、専門家によれば、IFRSの強制適用は中小企業の会計基準「中小企業の会計指針」や法人税法改正に結びつき、結局のところ中小企業の会計処理に大きな影響を及ぼすことになるという。上場企業と取引の多い企業は、いまからIFRSを学んでおく必要があるだろう。

▼過去にも同じようなことが起きている。J-SOX法(日本版SOX法)の適用で内部統制が強化され、中小企業も対応を迫られた。IFRSの「コンバージェンス」の段階に差し掛かっている現在、リースの会計処理などで資産計上の変更を強いられている。そのつど、場当たり的に対応していては、自ずとIT投資の額がかさむ。

▼財務・会計ソフトウェアを出すメーカーは、いまから対象となる中小企業を支援すべきだろう。「IFRS」という言葉が独り歩きし、早晩混乱が生じるからだ。この支援次第で、後の需要を生み出すことができる。
  • 1