BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『さらりと返せる、大人のメール表現334』

2010/03/04 15:27

週刊BCN 2010年03月01日vol.1323掲載

 昔「文通」、今「メル友」。若者の間では頻繁にメールが飛び交っているが、ビジネスシーンでメールの文章を書くとなると、途端に腰が引けてしまう人が多いのでは?

 というわけで、今回取り上げるのは、ビジネスメールの書き方を指南する、ずばり実用書である。

 本書は、(1)334を数えるお勧め文例・フレーズが紹介されているだけでなく、「書いてはいけない」フレーズも掲載されている、(2)定番のシチュエーション(挨拶とかお礼など)だけでなく、「断りたい」「催促したい」「意見したい」などの切り出しにくいテーマの文例も網羅されている──ことなどが特色となっている。

 例を挙げてみよう。「佐藤様のおかげで商談がまとまり、助かりました」という表現は○か×か。答えは×。「助かる」というのは、目上の人から目下の相手にかける言葉なので、取引先や上司に向けてのメールには控えたほうがよい。では、「このたびは、弊社セミナーへご参加くださり、ありがとうございました」で、おかしな表現は? その答えは、「ご参加くださり」の言い回しである。この場合は謙譲の「ご参加いただき」が正しい。

 ぺらぺらと頁をめくって自分に関係するビジネスシーンに応じた文章を探せば、それでOK。だが、読んでみて、ふと気づいた。これらの例文は、紙のビジネスレターも同じではないか、と。“ないものねだり”かもしれないが、メール独特の文章作法にも触れてほしかった。(止水)

『さらりと返せる、大人のメール表現334』
神垣あゆみ著
ソフトバンク クリエイティブ刊(1238円+税)
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