北斗七星

北斗七星 2010年3月8日付 Vol.1324

2010/03/11 15:38

週刊BCN 2010年03月08日vol.1324掲載

▼「クジラ肉」と聞けば、中高年は学校給食での“にがい”思いが蘇るだろう。牛肉や豚肉が高価な時代、これに代わる貴重なタンパク源として一役買っていた。クジラの竜田揚げは、子どもが噛みちぎるのは大変だった。しかも“にがい”味。そんなクジラ・メニューが学校給食や社員食堂で復活している。

▼ニュースでは、過激な環境保護団体「シーシェパード」の抗議船が日本の調査捕鯨船を妨害するため激突する姿が連日報道されている。だが、調査捕鯨の規模は拡大し、クジラが安価に流通するようになった。調理方法が進んだいまは、昔の竜田揚げのような味覚でなく、柔らかく美味しい。

▼国際捕鯨委員会は、紛糾する委員会の妥協案として「沿岸捕鯨」の再開を提示するという。古式捕鯨発祥の地である和歌山県は、この案に期待を寄せているに違いない。もっとも、ここまで揉めて、捕鯨再開を待たされたからには「乱獲」を避け、生態バランスに配慮した策が練られることだろう。

▼一方で、日本の食文化を代表格する食材である大西洋産クロマグロの輸入が、ワシントン条約締約国会議で禁止に向かいそうだ。皮肉にも「寿司」が世界的に大流行し、マグロの消費量が増えたことが要因だが、日本の食文化が侵されていくことに危惧を覚える。最近では、GPS(衛星利用測位システム)を使った生態観測方法も出てきた。世界的に「環境」がテーマになっている現在、日本のIT技術で科学的な管理を提案してはどうか。
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