北斗七星

北斗七星 2010年4月19日付 Vol.1330

2010/04/22 15:38

週刊BCN 2010年04月19日vol.1330掲載

▼メイドイン・ジャパン・ソフトウェア・コンソーシアムが和歌山県の南紀白浜で開催したイベントのパネルディスカッションで、世耕弘成参議院議員がこんな提言をぶち上げて聴衆を沸かせた。「IT遷都をしてはどうか?」――。先の総選挙で下野した自民党の立場だからこそ生まれた大胆な発想だ。

▼世耕議員は、NTT出身でITに造詣が深い。それにしても、よく思いついた妙案と感心する。「IT遷都」案はこうだ。首都圏の官公庁にあるITを預かるデータセンター(DC)や民間のDCを、「強制的に地方へ移す」という案である。DCを地方のITベンダーが運用すれば、IT需要が発生して雇用も生まれる。DCの運用ノウハウも蓄積でき、先々に「横展開」できる。これを国主導で断行したら、地域ごとでアンバランスなIT需給関係を改善できるだろうという計算だ。

▼地方の企業が“全国区”に育った途端、これまで地方のITベンダーに任せていた自社DCを東京に一極集中するという話をよく耳にする。コスト削減や運用効率を考えれば、至極当然。だが、それによって地方ITベンダーは仕事を失うことになる。

▼東京・名古屋・大阪を除く地方のITベンダーの多くは、売上高の半分を県外に依存している。そのほとんどが同業他社の下請けや派遣だ。この状況を改善しない限り、日本のITベンダーは一部大手に牛耳られたままで、技術力が身につかず、衰退するのを待つばかり。この状況の打破に現政権は手を打ってはいない。
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