▼山を登りつめる苦しさを経験した後に、頂上にたどりついた時の爽快感は何ものにも代えがたい。それでも、「もう勘弁してほしい」と音をあげることがある。頂上に到着したと思って喜んだら、その向こうにもっと高い山があるというようなときだ。もうひと息、と頑張ると、頂上はさらにその向こうだ。もう勘弁してほしい、隣の隣は隣なのだ。

▼北京にいて周囲の都市を思い巡らすと、天津、青島は近い。上海にいると、蘇州、南京は近い。成都にいると重慶、西安は近く感じる。少し離れて昆明、南寧がある。南寧に行くと、ベトナムのハノイに近づく。ハノイからホーチミン。さらに南にシンガポール、ジャカルタと続く。隣の隣は隣なのだ。

▼中国にいて、現地のテレビの気象情報を見ると、日本の25倍の広さの地域の天気が表示される。上海は雨、ウルムチは晴れ。気象情報の放映時間は日本よりも中国のほうが長いが、25倍ほどの長さはない。その分、中国の天気予報は緻密さに欠け、日本のそれは25倍ほど緻密なのである。この違いは毎日毎晩、積み重なっている。それがどんな結果をもたらすか。なんだか考え込んでしまう。（直）