富士通の山本正已社長がBCNの単独取材に応じ、クラウドコンピューティングの普及とITインフラの関係について、ふだんは耳にすることのない見解を述べていました。「まずは、すぐに導入できるクラウドを先に使ってみて、それからオンプレミス(企業内)のITインフラを考えるケースが増えました」というのです。
多くのSIer(システムインテグレータ)は、この逆の順序で顧客に提案しているのではないでしょうか。既存ITインフラをクラウド利用に向けて仮想環境で統合し、そのあとにクラウドを取り入れていく、という手法が一般的と思ってきましたので、山本社長の発言にはちょっと驚きました。
“逆転の発想”というわけではありませんが、確かに、BCP(事業継続計画)やDR(ディザスタ・リカバリ)に目を向ける顧客は、「とりあえず、重要データをクラウドにバックアップしておこう」と、一時的に事業継続に必要な体制を整える動きをみせています。クラウドを使ったことのないユーザー企業が、まずは安価なクラウドを使ってみて、その使い勝手を知る。その過程を経ることで、オンプレミスとクラウドをうまく融合させてITをつくる――となるのでしょう。(谷畑良胤)
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普及期を迎えたクラウドサービス 販売体制の構築が急務メールマガジン「Daily BCN Bizline 2011.12.5」より