電機メーカーの業績不振が続いています。テレビの製造にこだわり、本来、力を入れなければならないはずのスマートフォンやクラウドサービスへの取り組みが大幅に遅れたことが敗因といわれています。
かつては「家電の王様」だったテレビですが、巨額な赤字を垂れ流してでもテレビに固執する電機メーカーを見て「変だな」と思うのは、外野から冷めた目で見ているからなのかも知れません。もちろん当事者たちはいたって真剣で、ましてやテレビを「家電の裸の王様」などとは思いもしていないでしょう。
その一方で、テレビ放送やコンテンツを取り巻く環境、すなわち、ユーザビリティを顧みず、あれダメ、これダメと規制や権利保護でガチガチに固めていく手法からは、国内市場だけでもなんとか死守したいという“籠城”にも似た悲壮感が漂ってきます。
振り返って、われわれ情報サービス業も、過去の栄光にこだわってはいないでしょうか。確かに、かつては「人月商売」で儲かった時代もありました。当事者は真剣でも、端から見ると「変だな」と思われていることもあるわけで、存外、対岸の火事ではすまされないことかも知れません。(安藤章司)
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<IT業界の死角 窮地脱出の処方箋>【シリーズ1 ISV】第1回 危機こそがチャンスメールマガジン「Daily BCN Bizline 2012.11.22」より