家の近所に、昭和な雰囲気が漂う小さなお店があります。駄菓子やカップラーメン、洗剤、トイレットペーパーなど、日常生活品を売っているのですが、お客さんが店に入って買い物しているところを一度も見たことがありません。
賑やかでないわけではありません。店の前には子どもやお年寄りが集まり、人のよさそうな店主と話をしています。ここで魚がもらえるという噂が口コミ(?)で広まったのか、お腹をすかせている近所のネコたちもよく寄ってきます。
毎朝、駅に向かうときに店の前を通るのですが、先日、新しい看板ができたのを見て、なるほどと思いました。看板には「人情を取り扱う百貨店」とあります。そう、この店の一番の人気商品は駄菓子や洗剤ではなく、ネコにも通じる人情なのです。
店主がどうやって食べているのかはさておき、この店は、人と人とのつながり、人情で高い人気を得ています。競争が激しい小売業でも、価格や品揃えだけでなく、人情で差異化することは一つのモデルになりそうです。人情の町、大阪では、家電量販店が「安さと人情」を掲げて激化する競争をくぐり抜けようとしています。(ゼンフ ミシャ)
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<家電激戦区を歩く ~ライバル激突で何が起きているのか~>【大阪・大阪市】vol.1 街の全体像 ~キタとミナミと日本橋 安さと人情で売るメールマガジン「Daily BCN Bizline 2013.7.3」より