書店の棚で『ネットのバカ』を見つけたとき、「そうだろうな。バカが多いかもしれないな」と思った。ネットがもつある種の胡散臭さが、逆に多くの人々を引きつけるのかもしれない。

 「私は明らかにこの7年間で人生が変わった。それもネットのお陰に他ならない」と綴る著者は、ネットの勝ち組に属するといっていい。その彼がネットの世界の内側からみた、ユーザーのとんでもない行為と、なぜそんなことが起きるのかを解説している。

 ブログに続いて登場したTwitterは、その手軽さと速報性が受けて多くの人が参加するようになった。しかし、ネットリテラシーの低い層が大量にTwitterのIDを取得し、バカらしい事象が次々と起きるようになってしまった(この書評の原稿を書いている7月26日、「今度は客がアイスの冷蔵ケースに入って写真をTwitterに ミニストップが謝罪、ケース入れ替え」というヤフー・トピックスが目に飛び込んできた)。

 だが、著者は決してネットを否定しているわけではない。「ユーザーはネットの本質に目を向けよ」と警告を発しているのだ。「ネットは自由な言論のプラットフォームである」という説は、幻想でしかない。芸能人と一般人を比べれば、圧倒的な数のフォロワーを抱える芸能人に勝てる見込みはゼロ、などなど。

 本書の後半にある「ネットでウケる新12ヶ条、叩かれる新12ヶ条」は、企業の広報・宣伝部門の人たちが目を通しておきたい内容となっている。(仁多)


『ネットのバカ』
中川淳一郎 著
新潮社 刊(720円+税)