クラウド・コンピューティング全盛のいま、情報サービス業界のなかでコンピュータメーカーの地位が相対的に下がっているように思います。もし、そうでないのなら、クラウドをけん引するベンダーはAmazonやGoogleではなく、IBMやHPであったはず。しかし、現実はそうではありません。
先日、NECが3000ラック規模の巨大データセンター(DC)を新設し、2014年4月から独自開発のサーバー群によって低価格・高品質のクラウドサービス「NEC Cloud IaaS」を提供すると発表しました。冷却液を循環させるためのポンプを必要としない相変化冷却や、スパコン技術を応用した超高密度実装を適用するなど、意欲的な設計です。いかにもメーカーらしいアプローチで、ここしばらく影が薄かったNECの“ものづくり魂”を感じました。
ただ、クラウドサービスや、クラウドと密接に連動するスマートデバイスの動向をみると、少なくともハードウェアを自らの手で製造する優位性は色褪せつつある印象は否めません。
時代の要請は「サービス」と「グローバル」で、「製造」ではないことは明らかなのですが、この点、NECはよくも悪くもメーカーです。そうしたNECの“ものづくり”への熱い思いに期待を膨らませてしまう記者もまた、前時代的だと反省すべきなのかも知れません。(安藤章司)
【「NEC Cloud IaaS」の記事はこちら】
NEC、クラウド基盤サービス「NEC Cloud IaaS」を発表、新DCを開設へメールマガジン「Daily BCN Bizline 2013.9.19」より