クラウドERPの有力ベンダーである米ネットスイートの年次カンファレンスが、先週、米カリフォルニア州・サンノゼで開かれました。過去最高の6000人を集めたこのイベントは、年々規模が拡大し、基幹業務システムもクラウド化がどんどん進んできていることを実感させました。
ERP分野では、独SAPが押しも押されもせぬトップベンダーとして君臨しています。昨年のカンファレンスでは、SAPがクラウドにシフトする戦略を打ち出したことを踏まえ、その内容について「SAPのクラウドに対するメッセージは市場のニーズとかけ離れている」と批判したのが印象的でした。
しかし、今回のザック・ネルソンCEOの基調講演では、SAPをはじめとするERP分野の既存ベンダーに対する「口撃」も多少は盛り込まれていたものの、新たに別の「仮想敵」が設定された印象をもちました。ネルソンCEOいわく、「ユーザーのビジネスはオムニチャネル化が進んでいるが、ERPとバックエンドのデータを共有していない旧来のCRMでは対応できない」。その視線の先には、Salesforce.comがあります。
事実、ネットスイートの成長率は高く、クラウドERPの需要も旺盛で、しばらくは右肩上がりの状況が続きそうです。各分野のガリバーたちを引き合いに出しながら、自分たちの優位性をしたたかに打ち出していく戦略で、さらにビジネスを拡大するのか。要注目です。(本多和幸)
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米ネットスイート「SuiteWorld 2014」、キーワードはオムニチャネル、ネルソンCEO「広義のCRMが必要」メールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.5.20」より