ここ数年、3Dプリンタが脚光を浴びています。リコーなど、国内大手の精密機械メーカーも参入に意欲を示し、市場の拡大が期待できる分野です。しかし、3Dプリンターメーカーに話を聞くと、「基本技術は20年以上前からある枯れた技術」だと言います。
では、どうしてここ数年で一気に市場が活性化したのか。それは、主要特許の期限が相次いで切れたことで、さまざまなプレーヤーが参入しやすくなったという背景があるようです。
振り返ると、IT業界の勢力図を一変させるインパクトがあったクラウドコンピューティングの主要技術である仮想サーバーやベアメタルも、実は、中核となる技術はメインフレーム時代に確立されたものでした。コンピュータメーカー幹部らが「枯れた技術」だと異口同音に唱えるのも、どこか3Dプリンタとの共通点があるように思えます。
「枯れた技術」とみられていても、アプローチの方法を変えたり、最新の技術と融合したり、あるいはまったく違う使い方をしたりすることで、巨大市場の創出へとつながる可能性を指し示しているといえそうです。(安藤章司)
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リコー、3Dプリント関連事業に参入、ものづくり変革を提案する場「RICOH Rapid Fab」を開設メールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.9.11」より