「盗撮は犯罪」。ライカカメラの父、エルンスト・ライツが100年前にニューヨークでそんな看板を見ていたら……。ライツは、1914年、世界で初めての小型カメラを開発して、そのプロトタイプをもって渡米。カメラを片手に、人で溢れかえるマンハッタンを歩きながら、都市生活の風景を撮影しました。
ライツがニューヨークで撮った写真は、今、ライカの100周年を記念して、ドイツ北部のハンブルクで展示され、ウェブでも閲覧することができます。印象に残るのは、写っている人たちの不思議そうな表情。当時は誰も小型カメラを目にしたことがなく、小さい箱を手に持っているライツを見ても、自分が被写体になっていることをまるで認識していない――そんな、何ともいえない状況がひしひしと伝わってきます。
ライツの写真に刺激されて、愛用のライカを持って東京・丸の内に出ました。ライツと同じように、写真のなかに人がたくさん入る街のリアルな風景を撮ろうと思いましたが、カメラに向けられる厳しい目つきにひるんで、すぐに断念。盗撮は犯罪。念のため、「ビル中心」に方針を変えました。
ライツは、ドイツに帰って小型カメラの製品化を決め、ライカの成功が始まったといわれます。この100年の間、カメラの技術は大きく進化し、携帯電話で高画質の写真を撮ることができるようになりました。ライカは、新しい時代にどう立ち向かおうとしているのか。ライカカメラジャパンの福家一哲社長にたずねました。(ゼンフ ミシャ)
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<インタビュー>100年の時を超えて他にない価値を生み続ける(上)――ライカカメラジャパン 代表取締役社長 福家一哲メールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.11.11」より