BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『成長する10年』で必ずあなたは変わる
2016/01/07 15:27
週刊BCN 2016年01月04日vol.1610掲載
SEのキャリアアップに必要な“努力”
仕事ができると評判の上司。部下の多くが尊敬する存在だったが、ある日、人知れず努力していることを自慢げに演説してしまう。「お前らも陰で努力してこそ、未来が拓ける」と。正論とはいえ、部下たちは思う。「みえる部分の努力ならともかく、陰での努力は陰のままにして、自慢しないでほしい」と。上司の株は一気に暴落していく。
ただし、誰もが認めるような成功者であれば、話は違ってくる。ましてや、ハッピーリタイアとなれば、たとえ自慢話でも得るものがある。
そこで本書である。著者はSIerとして起業し、社長を16年間務めた。後任を育て、現在は会長になって一線を退いている。特筆すべきは、著者の経歴だ。32歳までは、プロのミュージシャンとして活動。10年と決めていた期間で芽が出なかったため、ミュージシャンを引退し、写植オペレータを経て、34歳でプログラマとしてSE人生をスタートさせる。プログラマになったのは、友人が「理屈が得意やから、きっとコンピュータの仕事に向いてるで」とのアドバイスがあったからだ。
とにかく、SE人生のスタートが遅い。当時はまだ、仕事の辛さから、プログラマ35歳定年説が語られていたほど。定年目前の年齢である。そこで著者は、人知れず勉強に励みながらチャンスをつかんでいく。著者は語る。「技術は努力すれば、簡単に一流になれる」と。上流工程を目指し、SE職を極め、起業、引退へ。このサクセスストーリーに「若き読者にSEという職業への夢と希望を与えたい」との気持ちが凝縮されている。(亭)
『成長する10年』で必ずあなたは変わる
高山明直 著
飛鳥新社 刊(1389円+税)
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