人工知能が21世紀の勝者を決める

 産業革命の流れにギリギリのタイミングで乗ることができた日本。先進国として世界経済をけん引してきたが、現在は先行き不透明な状況にあるのは、誰もが実感しているはず。新興国の台頭やグローバル化の進展など、さまざまな要因が挙げられるが、少子高齢化の進展による労働人口の減少も解決すべき課題の一つである。少子高齢化問題の解決には、出生率を上げなければならないが、いくら国が制度を整備しても、問題解決に至るまでには多くの時間を必要とする。それまで日本が先進国としての地位を維持するのは容易ではない。

 そこで、人に代わって働く人工知能である。第三次人工知能ブームとされる現在では、専門分野において人間の能力を超える人工知能が登場し、活用され始めている。いよいよ人間の代替として活用できそうなムードになってきた。

 ただし、問題があると著者は指摘する。人工知能開発をリードする企業の多くが、日本企業ではないというわけだ。このままでは人工知能による新たな産業革命に、日本が乗り遅れてしまうと危機感を抱いているのである。

 本書のタイトルは「人類を超えるAIは日本から生まれる」。まだ日本には望みがあるというわけだ。その根拠が、ベンチャー企業のペジーコンピューティングが開発している「ニューロ・シナプティック・プロセッシング・ユニット (NSPU)」。流行のディープラーニングと違い、人間の脳と同等のニューロンとシナプス結合をもったコンピュータである。著者は、NSPUが日本に大逆転をもたらすとしている。完成は2025年の予定。乞うご期待。(亭)

『人類を超えるAIは日本から生まれる』
松田卓也 著
廣済堂出版 刊(800円+税)