人は死ぬまで働き続けられる

 モーレツ会社員時代を生き抜いた人たちは、定年を喜んで迎え、悠々自適のリタイア生活を過ごすというのが定番のスタイルだった。夢だった海外旅行や趣味の世界を誰にも邪魔されずに没頭することを楽しみにしているものだった。現在でも、そういう人が多いのかもしれない。

 ところが、いざ定年を迎えてみると、意外と退屈なことに気づく。趣味も、忙しいなかで時間をみつけてやるからこそ、楽しいと思えたのである。リタイアした人から、そんな話を聞いた。モーレツ会社員時代のほうが楽しかったと、若き日を振り返る。

 定年を迎えて仕事を辞めると、人は一気に老けると、本書は指摘する。使わなくなった道具が錆びつくかのごとく、脳や筋肉が衰えていくからだ。だから、働く。脳や筋肉を維持するには、働くのが一番なのである。

 ただ、働いていたとしても、脳や筋肉は緩やかに衰えていく。体力的にも若い人と同じように働くことはできない。企業で定年が設定される理由でもある。

 そこで最先端のVR(Virtual Reality)を活用して、働き続けたらどうかと本書は提案する。VRは現在、ゲームを中心に盛り上がっていることもあって、仕事で活用するとなるとピンとこないかもしれない。本書でも、今すぐVRで働くことを提案するのではなく、近未来の話として紹介している。例えば、VRを活用すれば、職場に行かなくても自宅で就労できるというもの。それは、ITが業務効率を上げたのと同様の世界なのかもしれない。(亭)

『いずれ老いていく僕たちを100年活躍させるための先端VRガイド』
廣瀬通孝 著
星海社 刊(840円+税)