仕事をするうえで、生産性は気になるところ。うまくいっていればいいが、よかれと思って講じた策が、実は生産性を下げているかもしれない。なかなか気づきにくい生産性について考え、組織の仕組みを見直す参考書として活用できるのが本書だ。

 生産性というと、多くの人が悪い例として長時間にわたる会議と残業を思い浮かべるだろう。国が主導する働き方改革の影響で、各企業が是正に取り組んでいる。しかし、時間をコントロールするだけでは、抜本的な解決にはならない。この「量を追う発想」が、生産性の低下を招く原因だと著者は主張する。

 日本は今後、これまでにない急激な人口減少時代に突入する。労働人口が大幅に減り、経済成長が期待できない。地域コミュニティの機能が低下する。こうしたマイナスの考え方は枚挙にいとまがないが、好機ととらえることもできるという。

 人口が減っても、成果をあげるために欠かせないのがITの活用だ。多くの職業が人工知能(AI)に奪われるとの予測がある一方で、著者は、AIの導入論が強まることを予想。生産性の向上に、業界として貢献できる可能性に言及する。

 生産性を度外視した労働を続けることは、個人にとっても、組織にとってもプラスにはならないことは明白だ。生産性を向上すれば、イノベーションを生み出す余裕が生まれる。さらに生産性が高まると、個人や企業の成長につながる。この好循環を構築するノウハウが、本書には凝縮されている。(鰹)

『生産性』
伊賀泰代 編
ダイヤモンド社 刊(1600円+税)