天狗党はどこへ向かったのか

 小説を書くのとプログラミングは似ているとソフトウェア会社を経営する著者はいう。地元茨城を舞台にした歴史小説、渾身の二作目。水戸藩初代藩主の時代から幕末の激動の時代を時々の事件を交え掘り下げていく。本書は、初代藩主頼房の時代に常陸国で起きた生瀬の乱を描いた「生瀬騒乱」、二代目藩主光圀の隠居暮らしを題材にした「光圀探索」、そして本書のタイトルになっている、天下を震撼とさせ水戸藩を壊滅させていった天狗党を題材とした「天狗壊滅」の三篇からなっている。

 著者は前作の『桜田門外雪解せず』で、組織論としても水戸藩の興亡に興味をもったと言っている。確かに歴史小説を読む楽しみの一つに、現代社会との組織的な比較がある。また、そこで生きていかなくてはならない人間の葛藤と選択をせざるを得ない覚悟をみる。本書にも歴史小説ならではの流れのなかで潔さをみる。これらは現代社会を生きるわれわれに一つの指針をあたえてくれる。(蓼)
 

『天狗壊滅』
広田文世 著
筑波書林 刊
(1600円+税)