AI産業の振興を国家戦略に掲げ、2030年までに世界トップ水準を目指している中国。注目は高まるばかりですが、最近の急激な盛り上がりは、少し現実味を欠いているようにも思えます。

 例えば、新たな国家戦略「次世代AI発展計画」では、第一段階として、20年までにAIの中核産業規模を1500億元に拡大する計画。しかし、各地方政府がこれまでに発表した同年のAI産業の計画値を合算すると、全国目標を大幅に超過します。

 また、投資家やインターネット企業によるAI関連企業への巨額投資が相次いでいますが、実際に、どれだけの企業が生き残れるでしょうか。この1年で爆発的に普及した自転車シェアリングでは、一時期、事業者への投資が相次ぎましたが、最近では倒産する企業が増えてきました。過当競争によるサービスのコモディティ化、価格競争の激化、交通ツールの整備、ニーズの飽和など、課題が見えてくるばかりです。

 中国では、このところ顔認証AIを市場に持ち込む動きが活発ですが、現時点では実証段階のものが多く、すべてが利用され続けるわけではないでしょう。例えば、無人コンビニでの顔認証による決済。確かに、凄いことだし、一度は試してみたいものですが、従来のQRコードによるモバイル決済でも十分に事足りているし、すべてのITベンダーが潤うだけの需要が継続して期待できるのか、なんともいえません。自転車シェアリングの二の舞にならなければよいのですが…。(上海支局 真鍋武)