「携帯料金は4割下げられる」という政府の意向を“忖度”するかのように、携帯電話各社が新しい料金プランを発表しました。本当に4割も下がっているのかという議論は横に置くとしても、残念だったのは、「家族3人以上で使うとこれだけおトク」といった家族割引適用済みの金額を、あたかも標準の料金であるかのように大きく前面に出していたこと。離れて暮らしていても割引対象にするなど、柔軟性のある条件にしている事業者もあります。しかし、回線契約を「家族」という単位に何とか囲い込もうとする意図が見え見えのプラン設計は、モバイル通信の使い方がこれだけ多様化している現代に見ると、いかにも窮屈です。

 もちろん、家族の回線をまとめることが、競合他社への流出防止に極めて有効であることは理解できますし、多くの契約者にとっては合理的な契約形態なのだと思います。しかし、例えば格安SIMでは最低限の手数料でSIMカードを追加発行できたり、高速通信が不要なときには速度を下げて料金を節約できたりと、フレキシビリティーの高い料金体系を実現している事業者も少なくありません。さまざまなデバイスがつながる5Gの時代がそこまで来ているのに、“標準的な家族の平均的なスマホ利用”に最適化されたプランから外れると、途端に割高感が生じてしまうのは、ちょっと後ろ向きかと感じました。

 ひるがえって、コンシューマー市場に比べて地味にも思える法人向けIT市場を見ると、新たな価値提供の方法や料金体系が次々と提案されており、特に月額課金型サービスは花盛りとなっています。イノベーションは製品や技術だけでなく、料金プランからも生まれるものではないでしょうか。(日高彰)