当事者でしか語れない生々しい解説本


 量子コンピューターを開発する若手研究者による解説本。量子コンピューターを実際に開発している当事者にしか分からない生々しい現状を赤裸々に語っている点が、第三者による一般的な解説本と異なる。

 量子コンピューターは、現時点では複数の方式が併存し、どれがメジャーになるのかまだ分からない段階。例えば、原子や電子、光子は、すべて量子コンピューターの処理単位である「量子ビット」の素材候補になり得るが、どの量子を使うかすらまだ決定的になっていない。それだけに日本が世界をリードする余地もまだ十分にある。

 自身を「光子派」だという著者は、実際に光子を使った量子コンピューターの開発に邁進。100量子ビットにも満たない小規模な装置でも部屋いっぱいの巨大な構造物になったり、計算エラー率が高いなどの問題が横たわる。それを一つ一つ解決し、実用化を目指す。国内の数少ない量子コンピューターの開発者本人による誇張なしの現場からのレポートに仕上がっている。(寶)


『量子コンピュータが本当にわかる!
~第一線開発者がやさしく明かすしくみと可能性』
武田俊太郎 著
技術評論社 刊(1880円+税)