経済から見る戦国時代の社会構造

 「腹が減っては戦はできぬ」という言葉がある。今の時代、国内で実際に戦が繰り広げられることを想像するのは難しい。しかし、歴史を振り返ると、そうした時代は珍しくない。

 代表的なのが戦国時代だ。教科書に載るような有名な戦いを含め、各地で絶えず争いが起こっていた。動乱の時代ともいえる状況で、大名にとっては国の維持や発展は大きな使命になっていたといえる。

 そもそも戦国時代は、社会の仕組みが大きく変わった。室町時代初期の守護領国制から大名領国制になり、それぞれの大名は、独立して各領国を支配。戦に備えて兵力を増強したり、領国内を開発したりした。

 本書は、大名の「経営」に焦点を当て、史料をもとに大名の台所事情を説く。各章では、戦の収支や大名の収入、鉱山開発、地方都市などに触れており、戦国時代の経済状況を俯瞰できる内容になっている。

 例えば戦争。刀や鉄砲などの武具をはじめ、米や金銀なども含め、合戦のための備蓄品ごとに価格を紹介している。金額は現代の通貨に換算されており、規模感はイメージしやすい。

 当時は、海外進出を進めていた西欧との交流が盛んになっていた。本書は、日本を「海域アジア」として捉え、海外との取引の状況にも言及しており、世界とのつながりを垣間見ることもできる。

 ほかには、賄賂や人身売買といった話題も登場する。より生々しい史実を学ぶという点でも、本書は一読の価値がある。(鰹)
 


『戦国大名の経済学』
川戸貴史 著
講談社 刊(1000円+税)